「結い32号」コラムの続き

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 私たちの法人は、高齢者や障がい者をはじめとした誰もが、それぞれの意思でその人らしく暮らすことのできる社会の実現を目指し、日々活動に取り組んでいます。

 具体的には、高齢者の皆さんの何でも相談所である地域包括支援センターの運営、障がい者の皆さんの何でも相談所である障がい者相談等支援センターの運営、アパート入居時や福祉施設入所時の保証人(身元引受人)となったり終末期の希望を伺い一緒に準備する入居・入所・葬送等支援事業の実施、本人ができることに着目し日々の暮らしと向き合う自立支援型のデイサービスセンターつながるの運営に取り組んでいます。

 今年は、ホームページのリニュアルにも取り組み、皆さんとのつながりを強めたいと考えています。今後も、ホームページにアクセスいただけるとありがたいです。

 以下、コラムの続きです。

いわゆる「103万円の壁」

 総選挙以降、「103万円の壁」が大きく取り上げられている。

 実は、103万円の壁とは、年収が103万円を超えると所得税課税対象となり親や配偶者の扶養に入れない(扶養から外れる)というもので、配偶者の場合、給与収入で年間約201万円まで特別控除が認められているため、実質的には、アルバイトをする学生等にとっての問題となる。

 この間の報道を集約すると、或る政党(以下「A党」)が総選挙の公約として、国民の手取りを増やすことを掲げ、具体策の一つとして、所得税の課税最低額を103万円から178万円に引き上げることを提案した。こうした公約に、若者を中心とした有権者が賛同してA党は大きく議席を伸ばし、与党の過半数割れと相まってキャスティングボードを握ることとなった。

 ところが、提案したA党自身その財源について具体案を有しておらず、そこに各政党の思惑も加わり、議論が迷走・混乱し現在に至っている と私は受け止めている。

 減税などにより手取りが増えることに賛成しない人はおそらくいない。問題は、その財源をどのように確保(捻出・発掘)するか。そのことを真摯に議論しないと借金だけが増えていくことになる。

 

  103万円が178万円になることの影響

 所得税の課税最低額を103万円から178万円に引き上げることで何がどう変わるか。

 国の試算によれば、地方税を含めて年間7~8兆円の減収となる。このことに関し、全国の知事から「予算が組めない(これまでの事業を維持できない)」との声が挙がっている。

 減税額に関しては、年収200万円で8.2万円、年収500万円で13.3万円、年収800万円で22.8万円(大和総研試算)。つまり、低所得者よりも一定程度の所得を有する人に手厚いものとなる。

 これらからは、この施策自体が経済対策として最優先に取り組むべきことなのか否か疑問と言わざるを得ない。

 また、財源が確保できないとなるとその原資は借金(国債費)か既存事業の廃止ということになる。借金の場合、それが毎年積み上がり国家財政を締め付けていった時、その影響を最も受けるのはおそらく中高年ではなく若者(その頃は中年になっている可能性がある)と思われる。既存事業の廃止の場合、その事業の受益者にしわ寄せが行く。どうするか。それらも併せた議論が求められている。